特定商取引法改正|定期購入商法に刑事罰導入!?特定商取引法改正の背景と内容
2021年3月5日、消費者庁は「消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案」を閣議決定しました。
この法案は、通信販売・ECにおける「定期購入」、いわゆる「定期縛り」に焦点を当て、定期購入による消費者と事業者間でのトラブルを低減・防止することを目的としており、違反と判断されれば刑事罰も課されることになります。
では、この「特定商取引法改正」では、定期購入におけるどのような事が問題視され、どのような刑事罰が課されるのか、その内容を見ていきましょう。
特定商取引法改正の背景
通信販売の方法のひとつとして定番に挙がる「定期購入」。「初回無料」「初回大幅割引」といったベネフィットをユーザーに提示し、定期購入の契約を促すマーケティング方法ですが、ユーザー(消費者)と事業者間でのトラブルも発生しやすく、悪質な事業者に関して長く問題視されていました。
特に「最低●回までの定期購入が条件」という定期縛りがあるにもかかわらず、意図的に小さな文字で表示したり適切でない箇所に表示したりといった、定期購入だとユーザーが認識できない、または1回だけの購入だと誤認する「詐欺的な定期購入商法」に対しては、2020年以降、コロナ禍によって通販利用者が増えたことに比例して、トラブル相談が増えています。
そのため今回、消費者庁は特定商取引法を改正するに至りました。
【特定商取引法の主な改正内容】(消費者庁の公式資料より)
1 通販の「詐欺的な定期購入商法」対策
・定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化
・上記の表示によって申込みをした場合に申込みの取り消しを認める制度の創設
・通信販売の契約の解除の妨害に当たる行為の禁止
・上記の誤認させる表示や解除の妨害等を適格消費者団体の差止請求の対象に追加
2 送り付け商法対策
・売買契約に基づかないで送付された商品について、送付した事業者が返還請求できない規定の整備等(現行では消費者が14日間保管後処分等が可能→改正後は直ちに処分などが可能に)
3 消費者利益の擁護増進のための規定の整備
・消費者からのクーリング・オフの通知について、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に(預託法も同様)
・事業者が交付しなければならない契約書面等について、消費者の承諾を得て、電磁的方法(電子メールの送付等)で行うことを可能に(預託法も同様)
・外国執行当局に対する情報提供制度の創設(預託法も同様)
・行政処分の強化等
改正案における刑事罰とは
今回の改正案で、特に注目したいのが、違反した事業者に課される刑事罰です。
定期購入に関する表示がない、誤認を誘導している、解約しにくい、虚偽の内容の表示などがあった場合は、以下のような刑事罰が可能となります。
・個人の場合:3年以下の懲役または300万以下の罰金
・法人の場合:1億円以下の罰金
法整備・法改正の動向をチェック!
当然のことながら、適切な販売手段を取っていれば対象になることはなく、定期購入契約自体が禁止される訳ではありません。
ですが、通信販売・EC業界におけるマーケティング施策の方向転換が促されるきっかけとも言えるため、今後の法整備・法改正の動向を随時チェックしていくようにしましょう。
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