2018年越境ECの動向まとめ|世界的な成長拡大を見せる越境EC市場とは
インターネットショッピングが当たり前となっている昨今、国境を越えた(つまり他国の)ECサイトでショッピングをする「越境EC」(国際的な電子商取引)の成長率が著しいことは想像に難くないでしょう。
※経済産業省『通商白書2018』より
世界中でのスマートフォンの普及がEC市場の急速な拡大を導き、さらにその先の「他国・自国に関わらず『より良い』(時には『より安い』)商品を手に入れたい」「自国では手に入らない限定品が欲しい」などといった消費者心理が、「越境EC」という新たな市場を成長させているのです。
そこでここでは、越境EC市場の成長に注目し、2018年現在の越境ECの動向についてご紹介します。
主要国におけるEC取引額
経済産業省による『通商白書2018』によると、世界の越境EC市場規模は
■2014年・・・約2,360憶ドル / 2020年・・・約9,940憶ドル(見込み)
また越境EC利用者数は
■2014年・・・約3憶人 / 2020年・・・約9憶人強(見込み)
になるであろう成長傾向が記されています。
さらにはJETRO(ジェトロ、日本貿易振興機構)による『ジェトロ世界貿易投資報告 2018年版』のなかで、2017年の世界的な実質GDP成長率が3.7%と、2011年の4.3%以来の高い数字を出していることを指摘しています。
そしてその中で、現在の世界的なデジタル化とそれをとりまく世界経済・貿易に関する考察を踏まえ、主要国におけるBtoCのEC取引額を公開しています。
この表を見ると、EC取引額は2018年の時点で中国約5,387憶ドル、アメリカ約4,101憶ドル、日本857億ドルと、日本は3位でありながらも上位2か国との差がかなり開いています。
これは日本が人口比率に対して実店舗が充実しており、ECと実店舗との使用比が分散される傾向にあるためと言われています。
日本、アメリカ、中国の3か国間における越境EC市場規模
経済産業省の『平成29年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』によると、世界のEC取引額全体が成長すると言われるなか、越境ECもまた上位2国の中国とアメリカが牽引し、2020年までに前年比の約20%以上で拡大すると推測されています。
インターネット環境がより整備され、消費意欲がますます上がる中国の消費者の勢いが、少なくとも2020年まで衰えることなく増え続けると予測できます。
『平成28年度 我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(電子商取引に関する市場調査)』における上図によると、
■日本の越境 BtoC-EC(米国・中国)の総市場規模・・・2,570億円
■米国経由の市場規模(アメリカから購入した)・・・2,327億円
■中国経由の市場規模(中国から購入した)・・・243億円
■米国の越境 BtoC-EC(日本・中国)の総市場規模・・・ 12,070億円
■日本経由の市場規模(日本から購入した)・・・7,128 億円
■中国経由の市場規模(中国から購入した)・・・4,942 億円
■中国の越境 BtoC-EC(日本・米国)の総市場規模 ・・・27,556億円
■日本経由の市場規模(日本から購入した)・・・12,978億円
■米国経由の市場規模(アメリカから購入した)・・・14,578 億円
という額が明示されています。
つまりは、中国、アメリカ、日本間での越境ECにおいて、
【日本における中国・アメリカからの商品購入額2,570億円 < アメリカにおける中国・日本からの商品購入額12,070億円 <中国におけるアメリカ・日本からの商品購入額27,556億円】
という関係が見えてきます。
日本は越境EC市場において重要な商品販売側でありながら、日本人自体は越境ECでの購入が他2国と比較し極端に少ないことが分かります。
これは日本人にとって、言語に対するハードルの高さや、海外から購入する行為そのものに対する不安感・不信感が大きな要因となっていると推測されます。
世界各国の越境EC市場状況
その他、世界各国の越境EC市場状況も見ていきましょう。
世界の各国における越境ECの市場規模は、「拡大」の一途を辿っているデータがあります。
※経済産業省『通商白書2018』より
世界の越境EC市場規模は2016年に対前年比 122%の約 2.4 兆ドルとなっています。さらに今後も年平均 14.9%の成長率で拡大すると予測、2026 年には約 9.7 兆ドルにまで拡大すると推計されています。
信頼をベースに越境ECで勝つ!
これからの世界的な越境EC市場規模の拡大は、もはや避けられないと言ってもよいほど確実になっています。
そのため日本国内のECサイトであっても、海外、特に中国とアメリカをターゲットにした越境ECサイトの構築・サポートの整備は早急に行う必要があることは否めません。
とはいえ、越境ECを利用する海外の消費者は、「日本製品の品質における信頼性」をベースにしています。そのため信頼を勝ち得て海外のリピーターまでも獲得するために、まずはハードとソフトの両面でのマーケティング戦略を立てていきましょう。
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