改正薬機法の注目ポイント!広告規制と課徴金制度の導入・課徴金率について
2021年8月から、厚生労働省によって薬機法(旧薬事法)の改正が実施されました。
この改正では、「課徴金制度」が施行されることもあり、通信販売・EC業界の関係者をはじめ、対象となる個人のインフルエンサーやアフィリエイターの方たちまで、戦々恐々としているのではないでしょうか。
そこでここでは、薬機法改正に関する注目ポイントを挙げていきます。
薬機法(旧薬事法)とは
薬機法とは、正式名称「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」を指します。
2014年の改正をきっかけに、これまでの「薬事法」という呼び方から、現在の「薬機法」へと名称変更されています。
薬機法の対象カテゴリーは、
医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、再生医療等製品
であり、これらの対象カテゴリーに該当する製品の広告規制については、薬機法第66条〜68条で定められています。
薬機法改正と広告規制
今回の2021年8月の改正では、ECを含む通信販売市場の拡大に伴い、特にインターネット広告における虚偽・誇大表現の増大を問題視しています。
悪質な広告表現が消費者と事業者との間でのトラブルの要因となることから、「広告規制」を設け、違反した際には罰則が科せられるのです。
対象者は、広告主、広告代理店、メディア、アフィリエイターやインフルエンサーなどの個人と、広告の制作・掲載に関わる全ての従事者と言えます。
医薬品等の広告規制の詳細
厚生労働省が発表している『医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保に関する法律の概要 』第66条〜68条には、以下のように書かれています。https://www.mhlw.go.jp/content/000693248.pdf
■虚偽・誇大広告の禁止(法第66条)
・ 医薬品等の名称、製造方法、効能・効果、性能に関して、虚偽・誇大な記事の広告・記述・流布を禁止
■特定疾病用医薬品等の広告の制限(法第67条)
・ 医師等の指導下で使用されるべき、がん等の特定疾病用の医薬品等に関して、医薬関係者以外の一般人を対象とする広告を制限
■未承認医薬品等の広告の禁止(法第68条)
・ 未承認医薬品等の名称、製造方法、効能・効果、性能に関する広告の禁止
■広告の該当性 ※(平成10年9月29日医薬監第148号厚生省医薬安全局監視指導課長通知)
・ 顧客を誘引する(顧客の購入意欲を昂進させる)意図が明確であること
・ 特定医薬品等の商品名が明らかにされていること
・ 一般人が認知できる状態であること
■適正広告基準 ※(平成29年9月29日薬生発0929第4号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)
・ 効能効果等、用法用量等について、承認範囲を超える表現、事実誤認のおそれのある表現の禁止
・ 効能効果等又は安全性について保証する表現、最大級の表現等の禁止
・ 本来の効能効果等と認められない又は誤認のおそれのある表現の禁止
・ 医薬品等の過量消費又は乱用助長を促す表現の禁止
・ 医薬関係者以外の一般人向けの医療用医薬品等の広告の禁止 等
薬機法課徴金制度の導入と課徴金率
今回の2021年8月の改正で新たに追加された課徴金制度は、先述した薬機法第66条「虚偽・誇大広告の禁止」への違反行為が対象です。
課徴金は、原則「違反していた期間」における対象商品の「売上額の4.5%」が徴収されます。
※ただし、「対象品目の売上げが5000万円」で「課徴金が225万円」未満の場合は対象外です。
このとき、同一事案に対して、不当景品類及び不当表示防止法において減額措置の結果課徴金納付命令が命じられない場合 は、「対価合計額の3%(※ 景表法の課徴金算定率)を減額する」とあります。
なお、薬機法における課徴金額は、景表法との差分である対価合計額の1.5%になります。
また、事業者が課徴金対象行為に該当する事実を厚生労働省令で定めるところにより報告したときは、算定した課徴金額から50%相当額が減額されます。
迷ったら必ず確認を!
NG表現や許容範囲の表現に関しては、厚生労働省が発表している『医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等について』
に説明されています。
なかなか判定が難しい婉曲表現でもNGの場合が多いため、「この表現はNGかな?」と迷ったら、必ず確認するようにしましょう。
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