クレカのチャージバックとは?EC事業者に与える影響と対策
ECサイト運営時に、ユーザーに対して提示する決済方法のひとつとして「クレジットカード決済」があります。
便利な決済方法のため、多くのユーザーが利用する反面、セキュリティ問題によって不正にクレジットカードが利用されることも増えてきています。このような背景から生まれたのが「チャージバック」です。
ここでは、EC事業者にとって見逃すことのできないチャージバックに注目し、チャージバックの基本情報をご説明します。
チャージバックとは
「チャージバック」とは、クレジットカード決済された売上を、何らかの理由によってクレジットカード会社が取り消す(支払わない)ことを指します。
売上を取り消す主な理由として、クレジットカードの正規の持ち主(カードの名義人)ではなく第三者がクレジットカードを不正利用したため、名義人が支払いを拒否することが挙げられます。
この場合、当然ながらEC事業者には売上金が入りません。さらにEC事業者にとって問題なのは、すでに購入商品を指定の住所に送ってしまっている場合です。
この場合、カードを不正利用した第三者に商品が届いている可能性が高いため、商品自体も戻ってこず、「売上金」「販売商品」の両方が未回収となって二重の損失が生まれてしまうのです。
※チャージバックが発生した場合、クレジットカード会社からの補償・補填は一切ありません。
チャージバックの主な原因
クレジットカード決済が当たり前の決済方法になるほど、チャージバック件数も増加しています。以下に、チャージバックが起きうる主な原因を見ていきましょう。
【クレジットカードの不正利用】
まずは先述したように、第三者によるクレジットカードの不正利用が挙げられます。
一般社団法人日本クレジット協会による統計データ「クレジットカード不正利用被害額の発生状況」によると、2021年のクレジットカード不正利用被害額は「330.1億円」であり、2014年からのデータと比較して過去最高となっています。
※上図出典元:一般社団法人日本クレジット協会「クレジットカード不正利用被害額の発生状況」
カードの盗難・紛失の他、実店舗、ECサイトでのカード利用が増えることでコンピューターウィルスなどによって番号が抜き取られたり、いわゆるフィッシング詐欺によって偽メール・サイト上でID・PWやカード番号を入力してしまったりと、カード情報の漏洩・流出機会が増えていることも被害件数・額が増加している要因となっているのです。
【不正利用以外】
第三者による不正利用以外にも、カード名義人による支払い拒否が起こるケースがあります。
たとえば、「EC事業者から商品が届いていない」「商品に問題がある(商品自体に欠陥がある、もしくはECサイト上の説明や商品画像などと大きく異なる、など)」場合、支払い拒否が生じることがあります。
これらはEC事業者側の運営体制の問題でもあるため、早急な改善が必要です。
また、その他上記以外でも、クレジットカード会社が不正処理などと判断した場合には、チャージバックが発生することがあります。
クレジットカードの不正利用を防ぐには
では、第三者によるクレジットカードの不正利用を防ぐには、どのような対策が必要でしょうか。
【3Dセキュア】
「3Dセキュア」とは、基本のクレジットカード情報以外に、本人認証用に登録しているパスワードなどの入力が必須の本人認証サービス。
第三者の不正利用を阻むため、3Dセキュアを導入するECサイトが増えています。
【セキュリティコード】
「セキュリティコード」とは、クレジットカード裏面に記載されている番号のこと。
残念ながらクレジットカードそのものの盗難・紛失の際には対策にはなりませんが、カード番号のみを抜き取られ場合には、カード本体がなければ不明なセキュリティコードはセキュリティ対策として有効になります。
【不正検知システム・サービス】
「不正検知システム・サービス」とは、決済情報からクレジットカードの不正利用を検知し、利用前に未然に防ぐシステム・サービスのこと。
たとえば、「購入者(カード名義人)と届け先住所が異なっている」「異なるクレジットカード番号で何度も決済している」といった動きが対象となります。
もしもの時のチャージバック専用保険
事前に不正利用を防ぐだけではなく、もしもの時のために「チャージバック専用保険」に加入しておくことも選択肢としてあります。
これは保険料を支払うことで、チャージバックが発生した際に一定金額が補填される保険サービスです。
ただし、保険利用には審査があるため、チャージバック専用保険が気になるEC事業者の方は各サービスの加入条件を確認しましょう。
チャージバックは未然に防ぐ!
クレジットカードの不正利用によるトラブルからユーザーを守るために、チャージバックは必要な制度です。ですが、損失が発生するEC事業者にとっては、頭の痛い問題でもあります。
未然に不正利用を防ぐためにセキュリティ強化の対策を行い、必要であればチャージバック専用保険の利用も念頭に置きましょう。
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