運営 公開日:2019.02.26

ネットプロモータースコア(NPS)とは何か? 計算・計測と分析方法の簡単解説

ここ数年で頻繁に使われるようになったマーケティング用語に「ネットプロモータースコア」(略して“NPS”)が挙げられます。

簡単に言えばNPSとは「商品・サービスを友人・知人にどの程度お薦めしたいか」という、推奨レベルを数字で表し、そこから算出した推薦者の割合から導き出す「顧客ロイヤルティ」指標を指します。

ここではNPS初心者の方のために、NPSの基本的な計測・計算方法と分析方法についてご説明します。

NPSとは

NPSとは“Net Promoter Score”の略であり、日本語では「推薦者の正味比率」と訳します。

商品やサービス、ブランドなどを利用した(している)ユーザーが「どの程度のレベルで知り合いに推薦したいと思うか」を10段階で数値化し、そのうちの「推薦者」の比率を使って、顧客ロイヤルティが現在どの程度のレベルなのかを計測します。

元々は『顧客ロイヤルティを知る究極の質問(The Ultimate Question: Driving Good Profits and True Growth)』(フレッド・ライクヘルド氏著)という、2006年発行のマーケティング書籍内で提唱された方法です。

NPSの計測・計算方法

NPSの計測をするために、ユーザーに行う質問は簡潔です。

具体的には「〇〇を友人や同僚(「家族」の場合もあり)に勧める可能性はどのくらいありますか」という質問とともに、0~10点までの点数が選べるようになっています。

そしてこのアンケートに答えたユーザーの内、0~6点にした人を「批判者(Detractor)」、7~8点にした人を「中立者(Passive)」、9~10点にした人を「推薦者(Promoter)」と分類します。

NPS2

■批判者:商品やサービスに不満があり、ネガティブ(否定的)なクチコミを広げる可能性が非常に高い。
■中立者:ほどほどに満足しているものの、特別気に入ってもいない。競合他社に流れやすい。
■推薦者:顧客ロイヤルティ(商品やサービスに信頼・愛着を持っている)が高く、周囲に頻繁に推薦してくれる。

【NPSの計算方法】

NPS アンケート回答者の内、「批判者」「中立者」「推薦者」の割合(%)を出します。その割合を使い、以下の計算式に当てはめればNPSが算出されます。

「推薦者の割合(%)」-「批判者の割合(%)」=NPS

たとえば100人中「批判者10人」「中立者50人」「推薦者40人」の場合、「批判者10%」「推薦者40%」となるため、

40(%)-10(%)=30

がNPSとなります。

ちなみにNPSは「-100」(全員が批判者)から「100」(全員が推薦者)までの数値で表され、推薦者が多くて批判者が少ないほど「NPSは高い」結果となります。

NPSの推移を定期的にチェックすることで、顧客ロイヤルティの変化を数字で明確につかむことができるため、その変化に合わせた施策を早急に取ることができるのです。

【NPSの調査4種類】

NPSの調査方法には、大きく4種類が存在します。上述したような、顧客ロイヤルティの変化を捉えて迅速な対応を行うNPS調査を「トランザクション調査」(T-NPS)と呼びます。

トランザクション調査とは、基本的にユーザーが商品やサービス、店舗などを利用した「直後」に、その体験に対してどのように感じているのか、「生の声」を調査する方法です。

こまめにアンケートを回収したいため、できる限り多くのユーザーが回答を面倒に感じないように、設問数は5~10問程度に抑えるのがベストです。

トランザクション調査によって直近の問題点が明確となるため、迅速な改善施策を行うことができます。

NPS調査にはその他、「顧客リレーションシップ調査」(直近半年~1年における体験やブランドに対する評価)、「ハウスカード会員調査」(購買履歴の分かるユーザーのみが対象の、体験やブランドに対する評価)、「モニターショッピング調査」(想定ユーザーに近いモニターに商品やサービスを体験してもらう。それに対する評価)があります。

NPSの分析方法

とはいえ、NPSの数値の推移を追っているだけでは的確な施策を取ることはできません。

そこで次の段階として、NPSのアンケートとともに、「どうしてそのような数値となるのか、不満点(満足点)の理由」までも、ユーザーに記入してもらいます。

この不満点についての回答こそが、企業側としてはPDCAを回すことのできる必須改善点です。とはいえ回答された内容すべてに対応することは難しいため、回答内容をカテゴリー分けし、期限を区切ってカテゴリーごとの合計値を出します。

そして一番「不満点が多かった」カテゴリーを中心に、改善施策を検討します。

ただし注意点として、単純に不満点が多かったカテゴリーのみに注力するのではなく、カテゴリーごとのNPSを見て、NPSが低いカテゴリー内での不満点を優先的に改善するなど、全体的に視野を広めて最適案を出す必要もあります。

NPSを活用してPDCAを回していこう!

NPSはユーザーのリアルな感想を端的に表すことができる指標です。

そのためこの指標を元に、どの点をどのように改善していくのかが、NPSというデータを活用する側の意識次第でもあります。

NPSは企業の成長を促す可能性を秘めています。宝の持ち腐れとならないように、NPSが表すユーザー心理をうまく読んでPDCAを回していきましょう!

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