ABテストツール「VMO」とその他のツール比較
ABテストのやり方や、検証するポイントについては、「ABテストを使ってランディングページを改善する」で前回お伝えしましたが、今回はより簡単にWEBサイトの詳細なABテストができるABテストツールをご紹介したいと思います。
Visual Website Optimizer
Visual Website Optimizer(ビジュアルウェブサイトオプティマイザー)は略してVMOとも呼ばれ、現在WEBマーケティング業界で世界的に注目されているツールです。
設立はインドの会社ですが、WEB担当者ならわかるレベルの英語表記なので、日本でも導入する企業が増えてきています。
VWOが選ばれているポイント
VMOは全世界のABテストツールで第二位のシェアを誇っていますが、なぜ多くの企業に選ばれるのかを下記に上げてみました。
タグが非同期型で表示スピードに影響しない
VMOはサイトにJavaScriptのタグを設置するだけで簡単に始められます。
タグは非同期型なので、表示スピードにはほとんど影響がないのが大きなポイントです。
同一URL上で表示させる
ABテストを行うテストページも、元のURL上で表示変更を行えるので、広告の入稿先を変える必要がなくなります。
特に最近はリスティング広告において、登録データを集約させた方がパフォーマンスがあがる傾向にあり、また再審査のリスクも回避できるので、同一URL上での表示切替は大変便利な機能です。
Google Analyticsとも連動
同一URLの場合、Google Analyticsのデータがあやふやになりそうですが、ちゃんと連携ができるシステムなので、ツール内でABテストを行ったページの名前でGoogle Analyticsにも表示ができ、それぞれにデータの蓄積ができるようになっています。
自動で表示振り分けして計測
設定したバリエーションに対して自動で表示振り分けを行い、効果計測までしてくれるので、余計な手間が省けで、その分データの分析に時間を割くことができます。
また、実施してからの改善率も表示してくれるため、それを元にコンテンツの善し悪しを判断をすることができます。
ブラウザ上でページを編集
独自のページ編集ツールで、ブラウザ上でページの編集ができ、クリック&ドラッグで直感的にコンテンツの並び替えや変更ができます。
もちろんHTMLやCSS、JavaScriptの利用も可能なので、コードの方が慣れている方はそちらで編集することもできます。
ユーザー層に合わせて表示変更
年齢や性別、その他セグメントに合わせて、表示の切り替えができる機能があり、年代ごとにクリエイティブやアピールポイントを変えてテストをすることができます。
今まではユーザーごとに広告アカウントの管理画面で、それぞれにキャンペーンを分けてURLを入稿し、データを見ないといけなかった部分ですが、この作業とデータ分析を一括で集約できるので、検証も大変しやすくなります。
価格/条件
月額10万円(税別)~利用可能で同レベルの他社ツールの料金と比較しても群を抜く安さです。
また、利用できるドメイン数に上限がないので、1アカウントで複数のサイトのABテストが可能です。
VWOで実施できるテストの種類
VMOではランディングページ最適化における様々なテストを行う事ができます。
主に下記の3種類のテストを使いこなして、ページの改善を行っていきます。
スプリットテスト
LPOで一般的に行われるテストの方法で、AとBで全くテイストの異なるランディングページを用意し、並行して表示させて数字を比べる方法です。
もともと入稿しているページURLにスプリットテストを行いたいページのURLを追加して、表示の振り分けを行います。
スプリットテストで反応の良かった方のランディングページを選択し、ABテストや多変量テストでさらに最適化を図ります。
ABテスト
スプリットテストよりも細部のコンテンツにおいて2つ以上のパターンを比較する際に利用します。
TOPのメイン画像やキャッチコピー、説明記事のコピーライティング、カートに入れるボタンなど、優先的に改善をしたい項目について、集中して比較を行い改善を図ります。
多変量テスト
比較したい箇所が複数ある場合に、複数の組み合わせを一度にテストできる機能です。
複数の組み合わせの中で最適な組み合わせを探し出し、LPOを実現していきます。
ある程度セッションが多いページでないとデータ蓄積に時間がかかるので、セッションが少ない場合はまずスプリットテストやABテストで、少ない項目から始める方がいいでしょう。
VMOはブラウザ上で自由にページの編集ができるので、いちいちコードの書き換えやコメントアウトを行わずに済み、簡単に複数のコンテンツのパターンを作成することができます。
VWOのその他の機能
VMOではテストを実施した際のデータをもとに、次回のテストを行う際のヒントとなる項目を見つけられる機能も充実しています。
レポート機能
テストを実施した期間を選択して、「コンバージョン数」や「コンバージョン率」をグラフで視覚的に確認することができます。
ヒートマップ
ページ上のどこにマウスのポイントが存在していたかという情報を、存在していた時間の長かった部分ごとに視覚的に表示することができます。
このデータを使って、読まれずスクロールされているような注目度が低いコンテンツや、逆に滞在時間が長く興味を持って閲覧されているコンテンツを判別し、コンテンツの取捨選択や並び変えなどのABテストの材料を見つけます。
クリックマップ
ページ上にあるリンクのクリック率を視覚的に表示して、リンクボタンの分析を行います。
ページ途中の「カートに入れる」ボタンなど、クリック率が低いボタンは不要な場合があるので外したり、ボタンのデザインや色、配置を変えて、クリック率の変化をみます。
ABテストの事例集
こちらは機能でありませんが、VMOを使って実施されたABテストの事例が紹介されているので、こんなテストやってみたらいいかも?というようなアイデアを与えてもらえます。
海外の事例ですが、十分理解できる内容なので、一度確認されてみるといいと思います。
その他のおすすめABテストツール
opitimizely(オプティマイゼリー)
アメリカで開発された、基本無料のABテストツールです。
日本の代理店によるサポートを受ける場合は月額で数万円ほどかかりますが、VMOなどの高機能なツールに比べると導入するハードルが低く、利用企業も多いのが特徴です。
ただ、非同期タグを使用していないため、ページ読み込み速度が遅くなってしまう点がネックとなっています。
Google Analytics(グーグルアナリティクス)
言わずと知れたGoogleのアクセス解析ツールですが、無料でABテストを実施できるツールが実装されています。
VMOのようにブラウザ上でページを編集するなどはできないので、基礎的なコードの知識は必要ですが、設定を把握できればある程度のABテストは実現可能です。
いつものアクセス解析のデータをそのまま利用できるので見慣れた画面で確認ができるので、自分で調べて設定までできる方にはお勧めです。
ABテストを行う際のポイント
ABテストを行う際に気を付けるポイントは、大きく2点あります。
下記のポイントを踏まえて、テストを実施されることをお勧めします。
事前に仮説を立てる
ABテストはツールで簡単にできるからと言って、几帳面に細かい部分までやみくもにテストをしても、データの蓄積にも時間がかかり、なかなか成果に結びつきません。
ここを変えてみたら大きく改善されるのではないか?という仮説を立て、その中でも優先順位をつけて比較したい項目をテストすることで、変化がみられるペースも早くなります。
最初は見た目にわかりやすい差をつける
初めから細かいポイントで比べても、あまり大きな変化がない場合が多いので、ある程度は違いがはっきりと分かり、それぞれの意図が明確になっている比較対象を素材に選んだ方が、変化がわかりやすく、データの概要を把握するのが楽になります。
ABテストツールのまとめ
今回はVisual Website Optimizer、opitimizely、Google Analyticsと言う、3つのABテストツールをご紹介しましたが、真剣にランディングページ最適化を行っていくのであればVMO、費用をかけずに自分で計測をするのであればGoogle Analyticsがおすすめです。
opitimizelyについては、非同期型タグでないために読み込み速度が遅くなり、ページの改善を行う前にそもそものCV率が落ちてしまう可能性もあるため、特にスマホ中心の商品などの場合は実装を見送った方が賢明かと考えます。
ただ、どちらにしてもABテストは常に行っていかなければならない施策なので、多少のデメリットも考慮した上でも、ご自身で使い勝手の良いツールを選択してください。