定期購入事業者への規制を強化?特商法の改正に向けた消費者庁の今後の動向
2020年7月28日、消費者庁は「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」にて、特商法の改正に向けた骨子案を公表しました。
概要としては、いゆわる「定期縛り」についての規制に重点が置かれており、消費者が誤解を招きやすい表示方法や、解約しにくい販売手法に対して厳罰化する、というものです。
では、この定期購入に関する特商法改正案について、見ていきましょう。
特商法の改正に向けた骨子案の内容
「特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会」の資料内には、以下のように書かれています。
“「詐欺的な定期購入商法」に該当する定期購入契約を念頭に、特定商取引法における顧客の意に反して通信販売に係る契約の申込みをさせようとする行為等の規制を強化。具体的には、独立した禁止行為としたうえで、規制の実効性を向上させるとともに、違反のおそれのあるサイト等へのモニタリング等を外部の専門的リソースも最大限に活用して法執行を強化するなど抜本的な措置を検討。また、解約・解除を不当に妨害するような行為を禁止するとともに、解約権等の民事ルールの創設等も検討。”
【資料2】特定商取引法及び預託法の制度の在り方に関する検討委員会報告書骨子(案) より
さらに、特定商取引法に基づくガイドラインである「インターネット通販における『意に反して契約の申込みをさせようとする行為』に係るガイドライン」の見直しを行う旨にも触れられています。
この背景には、2019年度には通信販売の定期購入に関して50,000件以上もの相談が独立行政法人国民生活センターに寄せられている社会状況が存在し、WEB広告やアフィリエイト広告を通しての販売トラブルも頻繁に起こっていることなどが挙げられます。
なお、アフィリエイト広告に関しては、今後、悪質な誇大広告であると認められた場合、広告主側への責任についても問われる可能性が示されています。
悪質なお試し商法とは
定期購入における一番のトラブルは、「初回無料」「お試し価格〇円」などと大きく掲載し、定期購入の回数縛りの条件を消費者が認識せずに契約するように「意図的に」行っているケースです。
また、『「悪質なお試し商法」に関する意見書』(2020年6月26日消費者委員会より提出)には、「悪質なお試し商法」として、「回数縛り型」「違約金型」「解約困難型」が挙げられており、これらのような定期購入商法は問題であり、
“法制度や法 執行の在り方を含む消費者被害の未然防止、再発防止、被害回復について検討 を行い、必要な措置を講ずるべきである。”
『「悪質なお試し商法」に関する意見書』より
と、指摘されています。
規制の強化と表示ルールの明確化
先述の骨子案では、「顧客の意に反して契約させる行為」の規制を強化するとしています。
たとえば現在は、「誇大広告の禁止」(第12条)は「100万円以下の罰金」だけだが、新たに罰則(罰金、懲役等)を設ける方針とのこと。さらにガイドラインの見直しも行い、表示ルールの解釈も明確にする方向に向かっています。
消費者庁の定期購入に対する規制は、あくまで悪質業者の撲滅を目的としているため、ルールに則った正しい販売方法を行っている事業者には、当然ながら影響はありません。
ですが、これまでの手法では処分にあたる可能性が高まるため、消費者庁が定めるルールを細かくチェックし、漏れがないように注意する必要がこれまで以上にあると心掛けましょう。
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