顧客ポートフォリオマネジメント(CPM)とは|ECサイトで優良顧客を育てるためのセグメント方法
新規顧客の獲得や既存顧客のフォローアップなど、ECサイト運営者は顧客の獲得と離脱防止、また客単価を上げることまで、日々様々な施策に取り込まなければなりません。
ですがここで、「顧客ポートフォリオマネジメント」(略してCPM)というマネジメント理論を取り入れてみれば、これまでの顧客へのアプローチ方法が様変わりし、さらには収益までも格段に上昇する可能性があります。
そこでここでは「顧客ポートフォリオマネジメント」の考え方についてご紹介していきます。
CPMとRFM分析
「顧客ポートフォリオマネジメント」とは、健康食品やサプリメントを製造販売している通販企業「やずや」の西野博道氏が編み出した理論です。この理論を実践したことにより、やずやは売上を急激に伸ばし、現在の成長を遂げたとされています。
まず従来の顧客分析手法であるRFM分析の方法を見ていくと、RFM分析ではその名称に使われている頭文字が表すように、
・Recency(最新購入日):最近(最後に)購入した日。何年も前に購入したまま終わっている顧客と、つい最近購入している顧客とでは、「最近購入した顧客」のほうが「良い顧客」とみなす。
・Frequency(購入頻度):どの程度の頻度で購入してくれているかどうか。頻繁に購入しているリピーターほど「良い顧客」とみなす。ただし「頻度が少ない顧客が少ない」=「新規顧客が少ない」とも言える。
・Monetary(購入金額):これまでの購入金額の合計額。金額が高いほど「良い顧客」とみなす。
という3つの指標で顧客を分類します。
これらを元にRFM分析に則った考え方を簡単にまとめると、
・Rが高い(最近購入している)顧客ほど、貢献度が高くなる可能性がある。
・Rが低いと、F・Mが高くても離脱の可能性が高い。
・Rが同じ場合、Fが高いほど常連客となる。
・Rが同じ場合、F・Mが高いと購買力がある。
・R・Fが高くても、Mが少ないと購買力は低い。
・Fが低くMが高い顧客の場合、Rが高いほうが優良顧客。
・Fが低い顧客は同業他社に流れている可能性がある。
・RFMすべてが低い顧客は施策なしにすることも要検討。
となります。たしかに一つずつを見ていくと、納得のいく考え方かと思われます。
ですが実は、このRFM分析には限界があるとも指摘されています。それは顧客が「何を購入したか」を把握していない、という点です。
そのため時期やライフスタイルの変遷などにより、顧客が以前とは全く異なる商品を数年後にその時期にだけまとめて購入すると、R・Mが上がるために優良顧客となります。
ですがこの優良顧客をその先もきちんとフォローアップできるかと言えば、RFM分析だけでは無理があるのです。そこで、顧客にとって「今、何が求められているのか」を把握できないRMF分析には弱点がある、となります。
そしてまた、「優良」とはみなされない、下位ランクの顧客や離脱客は切り捨てることになり、現在優良とみなされる上位顧客のみのアプローチに焦点があてられてしまうのです。
顧客ポートフォリオマネジメント(CPM)のセグメント方法
そこで生み出されたのが「顧客ポートフォリオマネジメント(CPM)」です。
顧客ポートフォリオマネジメントでは、顧客を以下の10パターンに分けます。
・初回購入客
・2回目以降のよちよち客
・特定回数以上、特定金額未満のコツコツ客
・特定金額以上の流行客
・特定回数以上、特定金額以上の優良客
・初回離脱客
・よちよち(数回で)離脱客
・コツコツ(安定してリピートしていたが)離脱客
・(セールやプレゼントにだけ引かれていた)流行離脱客
・優良離脱客
通常は、「初回客」から「よちよち客」、次に「コツコツ客」となり、最後に「優良客」となります。そのためこの4ステップで顧客を育ているために、ステップごとの施策が採られるのです。
たとえば初回購入客やよちよち客は、まだ商品の良さ・魅力を十分に理解していません。そのためこの層には「商品情報」を詳しく伝えるコミュニケーションが必要です。
反対に定期的に購入してはいるコツコツ客や優良客には、商品ではなく会社の情報をコミュニケーションツールとして利用することで、会社そのものの信頼度や愛着度・親近感を上げ、会社に対してファンになってもらうことが離脱防止として必要なのです。
また顧客ポートフォリオマネジメントでは、RMF分析では切り捨てられる対象の離脱顧客に対してもアプローチし続け、再度顧客として復帰してもらい、最終的には優良顧客に育てることも施策のひとつとしています。
顧客ポートフォリオマネジメントで優良顧客へと育てましょう
継続的に収益を上げるためには、顧客との長期的で友好な関係を築き、商品や会社のファンである優良顧客になってもらうことが欠かせません。
また離脱客に対しても、どのようにすれば「顧客からこちらに戻ってきたくなるのか」を考えて、アプローチする必要があります。
まずは顧客ポートフォリオマネジメントにて顧客を分類し、それぞれに適した情報を適当なタイミングで伝え、コミュニケーション継続のチャンスを作っていきましょう。
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