海外では定着!リテールテイメントとは?
今や小売りの主戦場と言えば、オンラインでの販売というイメージがあるかもしれませんが、実店舗をもつ企業がオンラインにも力を入れ、リアルとデジタルの両方で顧客接点を作ることで、より売り上げを伸ばしている、という状況からは目を背けられなくなってきています。
さらに、実店舗をもつ企業の中でも、顧客に商品を販売する以上の付加価値を、店舗で提供するマーケティング手法の「リテールテイメント」を取り入れた企業が、海外ならびに日本で注目を広げています。
ではなぜ、いまリテールテイメントが注目されているのでしょうか? ここでは、注目を集めているリテールテイメントについてご紹介いたします。
リテールテイメントとは
リテールテイメントとは、小売り(retail)とエンターテインメント(entertainment)を組み合わせた造語。
1999年アメリカの社会学者ジョージ・リッツァが自身の著書“Enchanting a Disenchanted World: Revolutionizing the Means of Consumption”で紹介したマーケティング概念です。
ジョージ・リッツァはこの概念を、「雰囲気や感情、音楽やアクティビティを駆使して、顧客が商品に興味を持ち、購買意欲を高めること」としています。
今、この概念が海外を中心に注目されており、実店舗を商品の認知やブランド体験の場にシフトさせていく動きと相まって、この概念が広がってきているとされています。
なぜリテールテイメントが注目されているのか
アメリカや日本など、新型コロナの影響やECの台頭により、実店舗での業績が振るわない実態が増加していました。そういった中、事業者が注目したECとの差異化や実店舗での購買増加の手法が、モノを売るだけでなく体験を提供するリテールテイメントの手法でした。
また、1980年代から2000年初頭に生まれたミレニアム世代が消費の中心になってきたことも、原因のひとつと考えられています。
ミレニアム世代は消費傾向として、モノ消費よりコト消費を重視するといわれており、「モノを持つこと」よりも「何かを体験して経験を得ること」への欲求が高まったことと、店舗での体験手法が合致したことから、リテールテイメントが注目を集めたきっかけとなったと考えられているのです。
リテールテイメントの利点
リテールテイメントが注目される理由を説明してきましたが、では、リテールテイメントを取り入れる具体的な利点とはどういったものでしょうか。
簡単にリテールテイメントの利点をご紹介します。
【1、より広い顧客層の集客が期待できる】
商品にふまえ体験を追加することにより、今まで以上に幅広い顧客層を期待できます。
中には、体験だけを目的とした顧客も訪れることもあり、そういった顧客に商品をアピールすることができます。
【2、他社との差別化】
自社商品だけでの差別化のみならず、優良な体験を追加することで、実店舗の他社のみならずECと競争をすることができます。
【3、顧客の店舗滞在時間が長くなる】
実店舗での体験がより顧客にとって楽しいものになれば、顧客の店舗滞在時間が伸び、より多くの商品に顧客が接することを期待できます。
【4、自社のロイヤリティを上げることが出来る】
成功したリテールエンタテイメントの経験は、顧客を店舗やブランドのファンにするのみではなく、SNSなどの投稿や口コミにより、アンバサダーとしても活躍してもらえることが期待できます。
【5、顧客の習慣を観察することが出来る】
製品を体験できるスペースを設けることで、顧客がどのように製品を使用するかより観察することができ、そこから顧客が望む製品への体験や、製品展開のアイデアを想像することができます。
リテールテイメントでファンを増やそう!
以上のように注目を集めているリテールテイメント。IKEAがお泊り会を開き、自社の商品を体験してもらったり、ワコールが3Dスキャン技術を用いて自身にあったサイズを提案する体験を提供したりと、日本国内でも様々にみられるようになっています。
ポストコロナ時代、リテールテイメントが小売業界を大きく変えるかもしれませんね。
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